ぶた汁
大晦日の夜、バイト先の神社では参拝客にぶた汁がふるまわれる。
境内の白いテントから美味しそうな匂いが漂ってくる。
私の相棒は小学生。近所の女の子だ。
ショートカットで小顔で、整った顔立ちのかわいらしい顔。 巫女装束も似合っている。
お正月まで数時間という時、その子が言った。
「ねえ。二人でぶた汁20杯食べんけ?」
「に、20杯!?……む、無理だよ。そんなに食べられないよー」と私は言った。
「大丈夫大丈夫。私が一緒に食べてあげるから!」
女の子がニコッと笑い、テントに入って行った。
やがて彼女は満面の笑みをたたえ、お盆に紙コップに入ったぶた汁を2杯持って来た。
箸を割り、「いただきまーす」と二人で食べる。
寒空の中、ほっとするような味が胃にしみた。豚肉のうま味がよく出ている。
「……美味しい」と私は思わずつぶやいた。
「ね、20杯くらいいけそうやろ? お代わり持って来るね」
罪のない笑顔。
「……」
参拝客はまだいない。彼女はニコニコ笑いながら拝殿と境内を数往復。
やがて、我々の目の前には積みあがった紙コップがあった。
「いち、に、さん、し……。ほら、二人で20杯食べられたやろ?」
女の子が嬉しそうに言う。たしかに20個の紙コップ。 今となっては何故あんなにたくさん食べられたのかは分からない。
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シックスセンス
昔は、いないはずの人が見えたりするような、そんな不思議なことが稀にあった。今でも夜に車を走らせていて電話ボックスとかに人がいるのを見つけて、もう一度パッと見たらいなくなっているという事がたまにある。虫の知らせを感じたこともあるが、私の霊感は強い方ではないと思うので、日常生活に支障が出るほどの怖い思いはしたことはない。墓場の近くを通ったりすると異常に寒くなることがあるが、そういう時は、ごく稀に波長が合う時なのだろうなと思う。そんな中でも不思議だったのが、小さい頃に座敷から鈴の音が響いてきたこと。鈴の音は魔を祓う音なので、幽霊のたぐいではないと思うのだが、今思えば、巫女になる前触れのようなものだったのかなぁと思うことがある。
プロフィール

柚木みやび

Author:柚木みやび
柚木みやびの日記&エッセイ。 2006.11.9~ 
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(プロフ画像はしいたけさんの絵本から拝借しています)


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