乙姫神社

みやびの日記&エッセイ。 2006.11.9~ Copyright(c) Miyabi All Rights Reserved.
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勾玉のブレスレット

結婚式場でバイトを始めてまもない頃の話だ。
巫女は登録制で、都合のつく日に来れば良いシステムになっている。
頻繁に来る巫女もいれば、自然と足が遠のいていく巫女もいる。

メンバーは、高校生が5人、社会人が3人。大学生は私一人だ。
その社会人のうちの一人が、「もう今日で最後にしたい」と言って突然来たわけだ。

やって来たその人があまりにも美人で、驚愕した。
豊かな黒髪のロングヘアで、両サイドにシャギーを少し入れている。
黒目がちの大きな瞳。
パステルイエローのカーディガンにジーンズのラフな姿だったが、スタイルもかなりいい。
有名人に例えるなら、女流棋士の梅沢由香里さんに少し似ているような感じだ。
左手首に、珊瑚色の勾玉がついた桃色ブレスレットをつけていた。
「素敵なブレスレットですね」と言うと、「あそこの神社で頂いたのよ」と教えてくれた。
普段も神道の心を忘れないとは、まさに巫女の鑑(かがみ)みたいな人だ。

その人が巫女装束に身を包むと一層美しく凛とした雰囲気で、光り輝くような感じがした。
まさに美人巫女。OLよりも巫女を本業にした方がいいのではないか、という位に似合っている。
性格もさっぱりとしていて明るく、感じが良い人だった。

私は彼女に憧れて、某神社で勾玉のブレスレットを授与してもらった。
色々な種類があったが、彼女と同じ珊瑚色の勾玉がついた桃色のブレスレットを選んだ。
美しくなる御守のつもりだ。
在学中、ずっと左手首につけてはいたが、彼女に少しでも近づけたかは分からない……。

後日、神社の祭でその勾玉をつけて社務をしていたら、
小学生の女の子二人とお母さんが一人が参拝に来られ、
「この子が、巫女さんと同じ勾玉が欲しいというのですが、何処にいけば買えるのですか?」
と聞かれた。
それで、私が教わったのと同じように教えてあげた。
小さいけれど、存在感のある勾玉だ。装束にもぴったり合う。

あの時の勾玉は、今でも大切な宝物だ。
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津村記久子『ミュージック・ブレス・ユー!! 』

芥川賞作家・津村記久子さんの青春小説。音楽のように淀みなく流れてゆく、女子高生達の恋と友情がテーマ。

派手なメガネとカラフルな歯列矯正をはめた女子高生・アザミの視点で、大学受験と個性豊かな友人関係を音楽を豊かにまじえながら描かれる物語。

若い頃は、ちょっとしたきっかけで友情が壊れたりすぐに復活したりする。
その目まぐるしさと、自分の立場が危うくなるのも省みず友達を助けたりできる無謀さもよく描けていると思った。

文章も正統派という感じで、落ち着いていて分かりやすい。
ただ、今時な雰囲気を醸し出すのにカタカナ語が多すぎて目がチカチカしたのと、
過去と現在、場所などがめまぐるしく変わりすぎるので読みにくい部分があった。
洋楽が好きだという人にはもっと面白く感じられるかも知れないが。
また、最後の方は何となく宙ぶらりんというか、はっきりとしたエンディングがなくまさに流れるように終わってしまったので、もう少しアザミの変化などがあると面白いのではないかと思ったりした。


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笙野頼子『金比羅』

笙野頼子さんの小説。新聞やインターネットでも評価が高いので読んでみた。
思想書のようで宗教書のような、一個人の半生と妄想が巧みに描かれている。

40を過ぎた女性小説家の「私」は、実は「金比羅」だった。
金比羅は黒い翼の生えた蛇神。死んだ赤ん坊の体内に入り込み、醜を極めていく。

その半生は、女性として完成してゆく自身の体への恐怖・自分を奇異なものとして見る家族や他人への抵抗・効率化された社会、能率至上主義への反発から来る闘いの物語だった。

私自身も変わり者だったので、社会における自分の居心地の悪さみたいなものは共感できる。
神仙世界への憧れのようなものもあるし、自分の体が大人になっていく怖さも分かるし、カーテンの模様からリスが飛び出てくるのが見えるような気持ちもよく分かる。

恐らく筆者をモデルにしたと思われる主人公の宗教的な価値観は、偏っていて独特であり、完成されている。他人に何を言われようが、「ふぅーん。けーっ!」と鼻で嗤い、自分の価値観を最後まで貫く。何者にも揺らぐことがない、可愛げのない金比羅。
その妄想は、フィクションでは片づけきれないようなリアリティを秘めていて尚且つ濃い。

思想書のようであり、宗教書のようであるが、「一個人の妄想として書かれた、れっきとした純文学」なのが凄い。
この世界は、笙野さん以外の誰にも書けないだろう。
ここまで密度の濃く、個性の強い作品を読んだのは初めてで、強烈に心に残った。


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