乙姫神社

みやびの日記&エッセイ。 2006.11.9~ Copyright(c) Miyabi All Rights Reserved.
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川上未映子『ヘヴン 』

芥川賞作家・川上未映子さん初の長編小説。
いじめについて哲学的に考察された、とても青春小説だと思う。


主人公の「僕」は14歳。斜視で、クラスメイトからいじめを受けている。
そんな「僕」に、同じようにいじめを受けているクラスの女子のコジマから「わたしたちは仲間です」という手紙が届く。

コジマの家は貧乏ではないが、身なりは汚い。
身なりを変えないのは別れた父の思い出を象徴する『しるし』を守るため、と彼女は言う。

次第に二人の距離は近づき、友情を深めていき、
夏休み、「僕」とコジマは、コジマの一番好きな絵、<ヘヴン>を見に美術館へ行く。

筆者は、世の中において強い者が弱い者に対して力をふるう悲しき現実を、
いじめる側の人間である百瀬の言葉を通して淡々と書き、読者に問いかけている。
百瀬の考え方は冷たく、無機質で残酷で、ぞっとするところがある。
犯罪や戦争の歴史を見る限り、人は誰かに暴力をふるわずにはいられない存在なのだろうか。

現実を変えようとする「僕」。
何をされても耐え続け、<ヘヴン>にたどり着こうとするコジマ。
14歳の少女ゆえの潔癖さ、高潔で美しい考え方だとは思うけれど、
彼女が少しでも周囲を受け容れていたら……世界も変わっていたかも知れない。

「僕」、コジマ、百瀬の考え方がそれぞれ対照的で、
ラストシーンの余韻や、<ヘブン>の描写も含めて結末を読者にゆだねる終わり方も良かったと思う。


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