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ぶた汁
大晦日の夜、バイト先の神社では参拝客にぶた汁がふるまわれる。
境内の白いテントから美味しそうな匂いが漂ってくる。
私の相棒は小学生。近所の女の子だ。
ショートカットで小顔で、整った顔立ちのかわいらしい顔。 巫女装束も似合っている。
お正月まで数時間という時、その子が言った。
「ねえ。二人でぶた汁20杯食べんけ?」
「に、20杯!?……む、無理だよ。そんなに食べられないよー」と私は言った。
「大丈夫大丈夫。私が一緒に食べてあげるから!」
女の子がニコッと笑い、テントに入って行った。
やがて彼女は満面の笑みをたたえ、お盆に紙コップに入ったぶた汁を2杯持って来た。
箸を割り、「いただきまーす」と二人で食べる。
寒空の中、ほっとするような味が胃にしみた。豚肉のうま味がよく出ている。
「……美味しい」と私は思わずつぶやいた。
「ね、20杯くらいいけそうやろ? お代わり持って来るね」
罪のない笑顔。
「……」
参拝客はまだいない。彼女はニコニコ笑いながら拝殿と境内を数往復。
やがて、我々の目の前には積みあがった紙コップがあった。
「いち、に、さん、し……。ほら、二人で20杯食べられたやろ?」
女の子が嬉しそうに言う。たしかに20個の紙コップ。 今となっては何故あんなにたくさん食べられたのかは分からない。
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柚木みやび

Author:柚木みやび
柚木みやびの日記&エッセイ。 2006.11.9~ 
Copyright(c) Miyabi All Rights Reserved.
(プロフ画像はしいたけさんの絵本から拝借しています)


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